労働衛生コンサルタント試験合格体験記(その2)(2021年度労働衛生工学合格)

  労働衛生コンサルタント合格体験記(2021年度労働衛生工学)                  
                                                   「安診協」Asum会員 Mt

1.受験の動機
 私は、環境事業(貴金属リサイクル+産業廃棄物処理)企業に、1985(昭和60)年に入社して、在籍37年転職せずに61歳になりました。
 新入社員当時40代前半の先輩アドバイザーから「世間一般で通用する実力を身に付けるモノサシの一つが資格だから、社内業務の技能を磨くだけでは満足するな」と酒の席で言われたことで、前年まで不思議に思っていた資格を目指す学友の姿と合致して、「これか!」と自己啓発に目覚めました。幸い、北海道から出てきたばかりで知人も友人も不在で暇な若者の時間つぶしには十分なエサでした。どうせなら、評価されている諸先輩が取得している資格を最優先に「公害防止管理者(水質1種26歳・大気33歳)、環境計量士27歳、危険物取扱者甲種32歳、第1種衛生管理者39歳」を取得しました。


 初めて環境安全スタッフに配属され、44歳で第1種作業環境測定士(粉じん・有機溶剤)取得させて頂いた当時の部長から「安全の国家試験は、労働安全コンサルタントしかないね」と言われたことを、単身赴任先から安全スタッフ部門へ戻った55歳で思い出し、子会社に出向させられた57歳で、「化学安全」を取得したところ、出向が解除され、親会社に戻れました。
 いい気になって、定年までに絶対的に必要な存在感を示そうと選んだのが「労働衛生コンサルタント」でした。作業環境測定士であれば、労働衛生一般と労働衛生関係法令が免除され、記述式「労働衛生工学」だけの受験準備に集中できます。つまり、受験の動機は、会社における評価向上であり、55歳以降急下降を続けていた年俸のV字回復という不純なものでした。

2.筆記試験:記述式「労働衛生工学」対策
 化学安全の経験で、記述式の問題は過去問題だけで十分との根拠のない自信を拠り所に、10年以上さかのぼって、2006年以降の過去問題をかき集めました。
 出題傾向は、かなり明確です。

⑴ 労働衛生管理(問1、問2)から1問を選択:
  迷わず問1を選択せざるを得ない状況でした。

  問2は、予備知識がない騒音・振動が出題されるので、初めから捨てる方針としました。
⑵ 局所排気装置(問3、問4)から1問を選択:
  どちらかわかる問題を選択することにしました。

  問4は、圧損計算が必ず出ます。
   対象が、有機溶剤か、粉じん、特化物か、だけの違いです。

3.筆記試験の経緯

 直感的に「イケる!」と思い、「化学安全」を取得した半年後2018年度に初チャレンジしました。

⑴ 2018年:
 7月の労働衛生工学基礎研修会に参加(東京)するもよく理解できませんでしたが、自己勉強で
9月以降に手応えを掴み試験に臨むも、圧損計算に時間を要し時間切れで不合格でした。
⑵ 2019年:
 前年の問題は、時間があれば落ち着いて罠にハマらず解けることが理解できました。

 ① 過去問の暗記だけでは応用が利かず、基本の理解がないと失敗すると実感しました。
 ➁ 局所排気装置(問3、問4)出題元「やさしい局排設計教室」の理解は必須でした。 
 ③ 
労働衛生管理(問1)作業環境測定、化学物質リスクアセスメントの出題が多いです。
 試験当日は、問4の圧損計算はトラウマで迷わず問3を選択するも解けず、残り1時間の時点で問3を断念し問4の圧損計算に切り替え、時間ギリギリで回答出来ました。
 さいわい一次筆記に合格の報を頂きました。


4.口述試験
 安コンの経験を経験していますので、口述試験の絶対的自信は発表当日まで揺るがなかったのですが、不合格でした。

⑴ 2020年:
 前年の不合格要因を実務体験不足と判断、作業環境測定現場へ足を延ばしました。

 しかし、筆記は問1の難問で焦り、問3が過去問のままだったことを見落としていました。
  不合格発表当日は、衛生工学衛生管理者講習を受講。
  修了直後91歳の親父急逝の連絡あり。

⑵ 2021年:
 試験挑戦はもはや執着に変異、白内障手術とコロナ禍が相まって、満身創痍状態でした。

 それでも4年間の努力は確実に身に付いており、当日は時間を余して筆記に合格しました。 

5.口述試験対策:
 講習会および市販教材に労働衛生工学はなく、全て保健衛生でした。

⑴ 日本労働安全衛生コンサルタント会主催口述試験対策講習会(保健衛生)受講
⑵ 労働衛生コンサルタント口述試験対策問題集(保健衛生)購入:産業医からの推薦
⑶ 2019年度口述試験不合格となった自己解析と対策
 ①作業環境測定士をアピールしたが、実務経験が少ないことが露呈してしまった。
 ➁規制対象外の質問に対して、化学物質リスクアセスメントで説明しようとした。
  ⇒ 冷静になれば、単なるリスクアセスメントとフィットテストの問でした。

 ③実務能力向上へ、有機溶剤業務従事者教育インストラクターコースを修了しました。
 ④Asum有志による口述模擬で、試験官の質問を得意部門へ引き込む助言を頂いた。
 ⑤想定問答作成:日本労働安全衛生コンサルタント会「試験合格への手引き」を参照

6.口述口述試験本番:1月12日(木)AM9:30エルおおさか
 ①自己紹介で、試験官の興味を得られる自分の強みをアピールしました。
  a.貴金属リサイクルと産業廃棄物焼却の工場長の実務経験を前面に押し出す。

  b.貴金属溶解で発生する窒素酸化物を、局所排気装置とスクラバーによる分解を説明。
  c.産業廃棄物は、前処理ピットで、穏やかに焼却させる組み合わせに混合すると説明。

 ➁試験官より、
  a.ダイオキシン暴露対策を問われ、防塵マスクとタイベックスの着用を回答したが、

  それは工場長の指導事項で、コンサルタントは関係法令を説明すべきと指摘頂いた。
    b.次に第1管理区分の作業場の作業員が、健康診断で有所見となった理由を問われた。
  有機溶剤をふき取ったウエスの放置と回答すると、前日の柑橘系の摂取が原因と説明が有ったが、直後、保健衛生向けの質問で、労働衛生工学には相応しくなかったとフォロー頂いた。
    c.化学物質リスクの指導方法を問われ、全ての取扱い物質をリストアップすると回答
  規制品は化学物質リスクアセスメントで、それ以外はSDSを取り寄せると補足した。
    d.化学物質リスクアセスメントの次の手順を問われ、「リスクを評価します」と回答
    e.評価方法を問われ、「①近づく頻度、②災害の可能性、③災害の重篤度」と回答しました。 すると重篤度の評価方法を問われ、正解である「有害性ランク」を度忘れ、しばし沈黙・・・
 2年前の悪夢が頭をよぎり、何とか絞り出さなければと「エーっとGHSの・・・厚生労働省の・・・クリエイトシンプルで入力すると評価されるのですが・・・」と言ったとたん「はい結構です」と合格なのか、不合格なのか微妙な終わり方でした。(少々心配)
 
 確信を持てないまま、迎えた発表当日は、92歳になった母親の特別介護老人ホームへ入所手続日と重なり、14時を過ぎてから思い出して、帰省先で無事「合格」を確認しました。


7.総括:
終わってみれば、過去3年間は実力不足を見抜かれて、不合格は当然だったと思います。
口述試験のテクニックは、回答できる質問を引き出すことでした。
 5年先の法改正を見据え、化学物質リスクアセスメント指導者として、衛生工学衛生管理者および労働衛生コンサルタントの存在価値は向上します。労働安全コンサルタント化学の専門性を生かして、世の中から必要とされるコンサルタントを目指し、専門性を磨きます。口述試験のサポートありがとうございました。今後とも引き続き、ご支援を頂きます様、宜しくお願い致します。
                                  以上