労働安全コンサルタント試験合格体験記(その3)(2020年度機械安全合格)

    労働安全コンサルタント(機械) 合格体験記
            (2020年度機械安全合格)
                    Asum会会員 Ki 


・受験の動機
  私が労働安全コンサルタントという資格を知ったのは、2008年にセーフティアセッサ(SA)という機械安全の専門知識を有するとした民間資格を取得、SA協議会に参加したときの参加者の中に労働安全コンサルタントの先生も参加されていたことです。
 その方は出会った当時(2010年)はまだ大手電気制御機器メーカーに勤務されていましたが、その後退職(定年延長の延長でなんと70歳まで)されたあと現在も個人事務所を営まれています。
その方の
 「大手の会社で、しかも社長よりも長く働く機会を頂けたのも、労働安全コンサルタントとセーフティアセッサの両資格があったからと思う・・・でもこれからは個人事業主としてぼちぼち働くわ・・・」
そのときの「定年後もずっと<求められて働く機会>を持てる」
という意味の一言が、当時はまだ若かった(30台後半)私に労働安全コンサルタント資格の取得を考えるようになりました。

・あ、受験資格が無い・・・
  しかし、私は文系の大学(経済学部)出身でかつ制御部品商社の営業職であり、安全衛生委員会のメンバーでも無かったため、受験資格をもっていませんでした。
そこでまずは受験資格として認められている技能検定1級について調べたところ、自身の日常業務に近いものでまだ可能性がありそうな機械保全技能士1級(電気系保全作業)の取得をめざすことにしたのが2011年春でした。
 機械保全技能士1級の受験資格自体にも要件があるのですが、「営業でも保全機器の技術提案を行っている営業であれば実務経験として認める」ということでしたので、14年間の電気保全部品提案営業経験を要件として受験することができました。
 機械保全技能士(電気系保全作業)の試験は、筆記試験と実技試験があります。実技試験用に三菱製の小型PLCを借り、試験に臨みました。1回目の受験で筆記試験で合格できましたが、実技試験のPLCプログラム製作及び回路組み立て作業/回路点検修復作業のどちらも本当に何もできずで終わってしまいました。実技試験の問題は事前公開されているものから出題されるものの、普段制御プログラムなど作成することが無い私にとってはかなりの難関な問題でした。
 筆記試験合格者は次年度以降は免除ということで、翌年再チャレンジしました。実技用の課題キット(検定盤)なるものが市販されているのですが、それが高い(リレーとタイマーなのに10万円以上)ので類似品を自作し、電線400m、Y端子も1000個購入し、2月の試験にあわせて前年11月ごろから隔日でシーケンスプログラムの作成と回路組み立て検査の練習を行いました。その甲斐もあり、2回目の試験で実技も合格でき、労働安全コンサルタントの受験資格をようやく得ることができたのが2013年の春の事です。
 
・労働安全コンサルタント試験受験
  ここからが本番・・・のはずなのですが、ちょうど機械保全技能士の取得前年に現職に転職したばかりという事、本来は私含む3名で営業体制の予定だったのが急に1名退職・・2名体制ということにもなり、日々忙殺の中であっても、「せっかく受験資格を持ったのだから・・・」という理由だけで2015年度に1度受験しました。そんな状態でしたので全く勉強不足で一般・法令・専門科目すべてにおいて合格ラインを突破できず、それ以降だんだん労働安全コンサルタント資格取得への思いも薄れていきました。
それから2年間は受験することも考えなかったのですが、セーフティアセッサの仲間で定年退職後に労働安全コンサルタントとしてバリバリ活躍されている先生が充実された生活を送らている話と、私自身2017年に大きな病気が見つかり、もし職を失ったら・・・という不安な気持ちもあり、ヒマな入院生活を送っているときの時間埋めにと労働安全コンサルタントの専門科目(機械)で出題される材料力学を中心に勉強をはじめました。
何せ文系出身で高校数学も物理もマトモに覚えていないのものですから、マンガでわかる入門書等を読み始めるも、それすら理解ができないとう状況でした。
 
  2019年度試験に2回目の受験をすることにしました。合格ラインは全試験科目でおおよそ60%の得点となっています。専門科目の材料力学や流体力学ガチンプンカンプンなものですから、一般及び法令で70%、専門科目で40%(足きりにならないライン)トータルで60%を目指すことにしました。
2019年の1月頃より苦手な専門科目のみ学習を開始し、5月頃までは一般及び法令には手を付けませんでした。一般及び法令は6月に試験用テキストを5Door’sとテクノリアライズの2社から購入し、通勤の時間を中心に読み込みを始めました。8月以降に過去問を繰り返し、またテキストに戻るという学習方法でした。本来は条文に戻るのが正しい学習方法なのでしょうが、条文を読んでの理解に慣れがなく、試験対策という点ではやはり受験セミナーを実施している企業のテキストがわかりやすいと思います。
  2019年の筆記試験では、一般(18/30)及び法令(9/15)でいずれも60%でしたが、専門科目(機械)記述の2問(知識問題と計算問題)のうち1問は全く解けず・・・・で結果不合格でした。
 
  2019年度の結果は不合格だったものの、2015年度受験時の全く歯が立たない状態だったことに比べて一般と法令ではギリギリ合格ラインまで取れたことで少し自信になりました。このままでは終われないと思って2020年度も再受験を決意しましたが、合格にはやはり苦手な専門科目の克服が課題です。材料力学の入門書を何度も読み込みますが・・・やはり私の文系脳には材料力学がスンナリとは入ってきませんでした。
前年同様、合格には一般と法令で70%、専門科目で40%以上の作戦しかないと考えていました。

・専門科目対策
  専門科目(機械)は知識問題を1つ、計算問題を1つを選択して回答します。
知識問題ではすべての機械に関する安全についてが出題範囲である中で、問題ではある特化した機械(例:ロボットの安全の考え)での問いとなります。
  計算問題は材料力学、流体力学からの出題が多く、基本的な問いからかなり難解な問題まで出題されています。
知識問題はとにかく範囲を絞っての学習が難しく、工作機械や食品機械、建設機械、プラント配管など、非常に幅広い分野の機械の安全対策について一通り理解しておく必要があり、選択肢の2問とも不得意な範囲が出たらもうお手上げになります。計算問題が得意な方は出題率の高い問題に特化した対策ができますが、私のように計算が苦手(例題を少しヒネられると、もうわからなくなる)な人にとってはかなり難しく、問題によっては一つも解けない状況に陥ることもあります(2019年度の私がそうでした)
とにかく、1問をなんとか完璧に解けるようにと私が選択したのは知識問題でした。とにかく幅広く機械の安全対策に関する情報を入手、理解することに努めました。もう一問の計算問題については、おおよそ小問題5問程度のうちの1-2問が解ければOKと考え、しかも材料力学のうちで過去に一番出題率の多い梁の計算問題の一番の基本部分のみに絞って(ヤマを張って)学習することにしました。

・私の学習方法
  基本的な受験学習は4月以降ずっと通勤電車の中で法令と一般を隔週にしてテキストを読む―問題を解くの繰り返しのみとしていました。というのも、2015年の最初受験時に9月頃の本番前にヤル気の糸が切れてしまった反省で、あまり早くから本格的に受験の勉強することは私にはできないと思っており、片道50分の通勤時間以外の試験勉強は8月盆明けから開始と決めていました(実際は9月以降になりましたが)
それ以外には時間のあるときに専門科目の知識問題対策として、日本規格協会出版の安全の国際規格 (向殿政男 監修 全3巻)や中災防出版の安全の指標、その他業務上で得れた情報などを読んでいました。
10月になっても、法令・一般は今まで学習してきた問題集とテキストを信じ、それをずっと繰り返していましたので、問題を読めば問題集裏の模範解答内容までだいたい頭に浮かぶようになっていました。

・筆記試験当日
  試験会場である近畿安全衛生技術センターに9時半迄には到着したかったこともあり、筆記試験の前日は仕事を早めに上がり、加古川市内のホテルに宿泊し余裕をもって会場まで移動できるようにしました。
 私は試験の直前まで問題集を読んでいました。この試験は結構似た内容の問いが繰り返し出てくることがあるためです。朝見た内容の問題だけどざっと見た程度のうろ覚えだった・・・という悔しい過去があったので、ざっとではなくポイント絞ってしっかりと復習していました。
 その甲斐もあり、一般、法令の2科目が終わった時点でかなりの手ごたえを感じ、最後の苦手な専門科目・・・です。
知識問題は普段から考えている安全確認型システムの論理や名称を求める内容であったこと、計算問題の1つは材料力学の範囲と全く異なり、MTTFd、B10d等といった、私が普段から耳にすることの多い計算問題で、足切り40点を超えたらOKと思っていた専門科目が結構解ける問題でとてもラッキーでした。

・口述試験対策
  一般・法令・専門科目とも手ごたえを感じておきながら、筆記試験の合格発表まで口述試験の対策は全く行っておらず、先輩合格者手記には「300問想定問題を作って暗記した」等と記載がありましたが、口述試験で暗記したものを絞り出しながら答える・・・と、想定していない質問が飛んで来たら真っ白になって答えれなくなるような気がしたので、暗記作戦は使わず、純粋に「安全の指標」を読み、理解を深めることだけに特化していました。実は、口述試験といっても面接ということだろうから、きちんと受け答えできたら問題ないだろう・・・と思っていました・・・これがのちに恐ろしい甘えだったと気づくのですが。
 1月16日(試験の5日前)にAsumの現役コンサルタントの先生方が面接官役として模擬口述試験を実施していただきました。この模擬面接で自分の知識の甘さ(頭の中でなんとなくわかっているが、端的に言葉で表現ができなかった)を知り、またその質問に対する回答(端的な内容で)も教わることができました。逆にこれで自分が非常にマズい状況である・・・ことを思い知らされました。とはいえ残された時間はわずか5日・・・
模擬面接官で前年合格の先輩先生からご自身がまとめられた想定集等も頂き、それから悪あがきを始めました。

・口述試験当日
  1月21日、受験時間の1時間前に口述試験会場(エル大阪)に到着、不安な気持ちの方が多かったものの、「ダメでも現職クビになるわけでもないし・・・」と半ば開き直りの気持ちで、元気よくハキハキと答えよう。わからないことは「勉強不足です。わかりませんので帰って調べます」ってハッキリ言おう・・・その気持ちで口述試験に臨みました。
実際の口述試験の質問では、なんと5日前の模擬面接と同じ質問が何問も出て、模擬面接では明確に答えれなかった内容が本試験では端的な言葉で回答ができました。またその関連の質問もそつなく回答ができ、面接官もうなずくような仕草もみれ、少し余裕ができました。
 最後の質問で、「近道行動をなくすためにはどうすればよいと思うか?」という問いに対し、
私は「安全装置を無効化できないようにし、それで全作業が滞りなく遂行することができるよう停止を監視するとか工学的な方法を・・・」と表現したのですが、その面接官に
 「それで近道行動なくなりますかね・・・・?」と詰められ、
少し焦って「作業手順を必ず守らせることが大前提で・・・」と答えた直後、
「はい、お疲れさまでした。試験を終わります」・・・。
途中順調だったけど最後の質問の答え、試験の終わり方に相当不安を感じたのですが、結果として合格通知を頂くことができました。

  <機械安全受験者の口述試験内容>
私が口述試験で質問された内容を下記に記します。今後受験の方の参考になれば幸いです。
・受験番号 氏名
・受験動機
・今の職種は?何をしている会社か?(会社名を見て)
・安全の経験は?現職になってからか?
・自社でも客先でも良いが、災害事例及び原因、対策はどうしたのか1つ挙げよ
・機械のリスクアセスメントで実施する内容は?
・機械のリスクアセスメントとユーザーのリスクアセスメントで異なる点は?
・リスクアセスメントとKYの違いは?
・ハンドグラインダーの安全対策は?(工学的、管理的両方)
・近道行動を無くすためには?

・口述試験を振り返って
  Asumの先生方による模擬面接で教わった内容が本試験序盤にそのまま出たからこそ、それ以降の緊張も解け、その他の質問も明確に回答できたと思っています。 令和2年度の機械区分で筆記試験合格者が34名、最終合格者が30名でした。口述試験というだけあって、やはり基本的な安全知識の部分についてしっかり理解されているのかという点を確認されていたのだと思います。もしあの模擬面接を受けていなかったら…と思うとゾッとします。
Asumの先生方にはこの場をお借りして、お礼を申し上げます。
本当にありがとうございました。

・これから・・・
  最初の受験資格の取得から数えて10年がたち、ようやく目指していた労働安全コンサルタントになれました。しかし今は資格を取っただけでありコンサルタントとしての知識も経験もなくペーパードライバーのようなものです。今迄も仕事柄、顧客の安全衛生部やEHS部門などの方々と打ち合わせる機会もありましたが、名刺に記載した「労働安全コンサルタント」の称号に恥じないよう、引き続き・・・というより、これからが本当の勉強の始まりと思って精進してゆきたいと思っています。
Asumの先生方、これからもご指導いただけますよう何卒よろしくお願いいたします。

                      以上     
                          Asum会 会員