労働衛生コンサルタント試験合格体験記(その1)(2018年度 保健衛生合格)
労働衛生コンサルタント試験合格体験記
(2018年度 保健衛生合格) Asum会員 Ko
1.受験の動機
現在の会社(自動車部品製造業)に10年前に入社してから主に電気主任技術者及び公害防止管理者として業務を続けておりました。また、作業環境測定の実施も私の業務の一つでしたので、安全衛生委員会には事務局として継続的に参加し、安全パトロールやKYTの指導、ヒヤリハットの集計なども行ってきました。
前職では廃水処理のコンサルタント会社に所属し現場代理人として施工管理などにも携わっていたので、TBM等の安全衛生上の活動にはそれなりの素養と経験がありましたが、この時点では安全は業務のうちの一部という位置づけでした。
転機となったのは、約5年前に社内で安全衛生と環境を専門にする部署(当社ではEHSセクションと呼んでいます)を立ち上げることになり、私がその立ち上げメンバーの中心となってからです。
安全衛生が専門になってすぐ、自身の知識の範囲が浅く、不十分であることにすぐに気づき、中災防やポリテクセンターなどの主催する安全衛生に関するセミナーに参加をし、知識と技量の取得に努めました。その中で、労働衛生コンサルタント、労働安全コンサルタントの資格の存在を知りました。
会社の作業場を安全で快適な職場にしていくためにはまだまだ自身の力が不足しており、技量を向上させていく必要を強く感じ、また、安全衛生を一生の仕事にしたいという思いも強くなり、受験を決意しました。
労働安全コンサルタントと労働衛生コンサルタントのどちらを先に受験するかについては正直かなり迷いました。安全と衛生共に業務としてかかわっており、知識もあります。私の個人的適正のみを考えると第2種電気主任技術者を試験取得しており、またもともと大学では工業化学を専攻していました。電気安全か化学安全のいずれかが、私の知識・力量とは親和性が高そうでした。
しかし直近の業務で
・化学薬品リスクアセスメントの推進
・社内のメンタルヘルス相談体制の整備
・作業環境測定の実施と改善活動
など、労働衛生分野の性格が強い業務に携わっていたことと、当社の社員人数の増加に従い近い将来の衛生管理者の社内の人材の不足が懸念されたため、まずは労働衛生コンサルタント(保健衛生)の取得を目指すことにし、その合格後に労働安全コンサルタントの電気安全か化学安全を目指すことにしました。
※余談ですが、労働衛生コンサルタント取得直後に、当社の工場の一つが社員数の増加に伴い衛生管理者の増員を行う必要が生じました。結果として私のこの選択は正しかったことになりました。
2.筆記試験のために勉強した内容
試験準備は、2018年のGW明けからスタートさせました。筆記試験に関しては、まず衛生コンサルタントの過去問を入手し、内容を分析することから始めました。この時点での労働衛生の知識は第1種の衛生管理者の受験時の知識のみでしたが、その時の受験時の知識と普段行っている化学薬品リスクアセスメントや作業環境測定の範囲でそこそこ太刀打ちできることが分かりました。
そのため、受験勉強の戦術としては第1種衛生管理者の“受験テクニックに特化していない”参考書と問題集で基礎固めを行い、その後労働衛生コンサルタントの過去問を中心に足りない知識を補足することにしました。
テキストとしては、衛生管理者受験時に使用していたオーム社「わかるわかる第一種衛生管理者」と、5年分の衛生管理者の過去問を使用し勉強を行いました。8月の夏季休暇中には衛生管理者の試験の範囲をほぼ完ぺきにできていました。
衛生管理者の範囲を押さえた後は、労働衛生コンサルタント試験の過去問に取り掛かりました。マークシートの対策としては、8年分の過去問を入手し、わかるところがなくなるまで地道に繰り返すことを行いました。また、わからないところ、深堀りしたいところはインターネット等で調査しました。
記述試験対策としては、8年間の過去問の内容をマスターするのと、労働衛生のしおりを読み込んで直近の法改正と時事問題の把握に努めました。直近で法改正のあったところは記述試験のテーマになりやすいので、労働衛生のしおりの読み込みは有効な対策であったと思います
労働衛生コンサルタントの試験に関しては、化学薬品の物性・毒性を理解し記憶することが一つのポイントです。一見すると膨大な範囲の化学物質を覚えなければならないように見えますが、実際のところは同じ物質が繰り返し問題に出ているだけですので、確実にそこを押さえることがポイントになると思います。私はダイソーで単語カードを購入し、試験の出題履歴のある化学薬品については書き込み、マスターしました。
3.筆記試験
筆記試験では試験日の二日前からビジネスホテルに泊まり、最後の仕上げを集中して行いました。雑音を遮断して集中して勉強のまとめを行う時間と空間を用意することは有効な対策であると思います。第2種・第3種の電気主任技術者やエネルギー管理士、今年(2020年)受験した労働安全コンサルタントなどの、難易度の高い試験の受験時には、私はいつもこの最終仕上げを行っています。このわがままを許してくれている家族には感謝しています。
筆記試験のマークシートの結果は、衛生一般が20/30、法令が11/15であったと思います。
記述式に関しては、1問、直近の業務で経験した産業医巡回と健康診断の運用に関する問題が出題されましたので、幸運でした。残り1問は化学薬品の体内での挙動に関する問題を選びました。
余談ですが、マークシートの点数がそこそこ取れていましたので、記述式の試験では私は52点以上取れば合格という計算になります。マークシートの底上げの分がなければ合格点は60点です。私の場合、実際問題として、記述はおそらく60点取れていないと思います。
労働衛生コンサルタント受験に際して、マークシートの範囲が免除になる方も多いと思います。しかし、筆記試験でミスをする可能性を考えるとできるだけマークシートで点数を稼いでおいて、記述式の必要点数に下駄をはかせる作戦はかなり有効です、マークシートの方はひたすら過去問の繰り返しで必ず60点以上は取れるようになりますから。
4.⼝述試験対策
筆記試験終了時には記述試験でどれだけ点数が取れているか正直分からず、合格が確信できませんでした。そのためなかなか勉強に取り組む気にならず、実際に勉強を始めたのは筆記試験の合格発表後でした。
調べたところ、労働衛生コンサルタントの保健衛生ではKindleで口述試験対策本が2冊も発売されていることが分かりましたので、それを購入し想定問答を作り始めました。
対策本および受験体験記等を読んだ結果、技術的内容に関しては、筆記の記述式の内容が問われることが多いとわかりました。そこで、もう一度過去問に戻り8年分×4問計32問の記述問題を、口頭で説明できるように備えることを対策としました。
年が明け最終の仕上げとしては、模擬面接とし、妻に模擬面接官になってもらい、何度か練習を行いました。妻は安全衛生にはほとんど知識がありませんが、はっきりとゆっくりとしゃべること、“てにをは”をきちんとすること、試験官の目を見て答えることなどをアドバイスされたので、実際にかなり役に立った練習でした。
試験前々日には、再びビジネスホテルを取り、丸1日を練習とまとめの時間に取りました。また最後の仕上げとして労働衛生のしおりを読み込みました。
5.⼝述試験
当日の試験には、試験時間の1時間ほど前につきました。予定されていたより30分ほど早く試験が始まりました。試験の内容を覚えている範囲で記載します。
Q:受験の動機はなんですか?
⇒「労働衛生の仕事に携わり、業務を遂行する上で自身の知識の整理と向上の必要性を感じたのと、将来的に労働衛生コンサルタント・労働安全コンサルタントとして、自身の経験を社会に還元し役に立ちたい思いが強くったからです。」
Q:衛生の経験について説明してください。
⇒「自動車部品製造業の会社で、安全衛生委員会の事務局の活動を行いました。具体的には作業環境測定の実施と評価、化学薬品リスクアセスメントの導入、社内メンタルヘルス相談体制の整備などを行いました。また衛生管理者として選任されています。」
Q:衛生管理者と労働衛生コンサルタントの違いについて説明してください
⇒「衛生管理者は企業の内部で企業の一員として労働衛生環境の改善と向上に取り組みます。他方労働衛生コンサルタントは企業組織の外の存在として報酬を得て、労働衛生環境の向上に取り組みます。」
Q:第13次労働災害防止計画について知っていますか?衛生分野に関係する目標を3つ挙げてください。
⇒メンタルヘルスに関する目標を3つ回答しました
Q:今の職場で必要となる安全衛生上の資格にはどのようなものがありますか?
⇒「それは技能講習とかそういった内容についてお答えしたらよろしいでしょうか(はい、それで結構です)。有機溶剤作業主任者、特定化学物質作業主任者、酸素欠乏作業作業主任者などの資格が必要となります。」
Q:特定化学物質は何を使用していますか?
⇒「超硬研磨においてコバルトを使用しています」
Q:化学薬品としてのコバルトの有害性について、発がん性があるのはご存じだと思いますが“発がん性以外に”どのようなものがあるかを答えてください。
⇒「発がん性以外に、ですか?・・・粉じんを吸い込んだり皮膚に付着したりするとアレルギー反応を引き起こす可能性があったと、思います」
Q:そのような性質を何と呼ぶか、わかりますか?
⇒(皮膚感作性、呼吸器感作性という単語が出てこない)「すいません失念しました。」
Q:コバルトに関して作業環境測定を行っておられると思いますが、管理区分ⅡもしくはⅢの場所はありますか?
⇒「いいえ、局所排気装置が適切に機能しており、作業環境測定の管理区分がⅡⅢの場所はありません。」
Q:作業環境管理区分がⅠとなった場合、労働者にはどのように指導しますか?
⇒「管理区分がⅠであるので、作業環境は安全に管理されていると伝えます。」
Q:コバルトを使用している作業者に、この作業は安全ですと指導するのですね?
⇒(質問者の意図に気づき)「いえ、訂正させてください。現在の状態は作業環境測定の結果としては適切に管理されています。しかし局所排気装置がきちんと作動しなくなったりしたときは有害ですので、局所排気装置の点検と整備をきちんと行ってください。また、皮膚に触れたり粉じんを吸い込んだりすると健康上有害なので、作業場所を清潔に保つようにしてください、と指導します」(「そうですね」とにこやかにうなずき)。
Q:コンサルタントとして中小企業の指導を行うと、経営者からお金をかけたくないといわれることもありますが、その場合はどのように指導しますか?
⇒「まずは、種々の災害について説明し、安全衛生にお金をかけないことは余計にお金がかかりかねないし、社員の健康を危険にさらす旨を説明します。また、できるだけお金をかけずに安全衛生を確保できる方法や、補助金などの使用可能性を検討します。」
6.結果発表と今後の取組み
1問完全に答えられない質問がありましたので、合格の確信は持てませんでした。
そのため、発表までの長期間は悶々とした日々を過ごしました。結果として合格で、非常にほっとしました。応援してくれた家族は非常に喜んでくれました。また、口述試験の練習に付き合ってもらったことは、会社で普段どんな仕事をしているかを妻に知らせることにつながり、仕事に関する家族からの理解を得ることにもつながりました。これはこの試験を受験した予想外の効能でした。
幸いにして労働衛生コンサルタント試験には1回目の受験で無事合格できましたが、安全衛生の分野で力量はまだまだであると思います。
今年度は労働安全コンサルタント(電気安全)の受験に挑戦しております。それ以外にも安全衛生に関する日々の研鑽を積み上げていき、コンサルタントとして活躍できる日に備え実力を積んでいきたいと考えています。
以上
以上
- TOP
- 「安診協」の活動
- 活動基本方針
- 「安診協」の目的
- 「安診協」と「Asum」(設立経緯)
- 安全勉強会発足10周年+1
- 安全診断の受診の勧め
- メンバー紹介
- メディアに取り上げられた会員情報
- コンサルタント試験等合格体験記
- 図書紹介
- 無料安全相談会
- 安全能力向上勉強会(Asum)
- Asumへの入会動機
- 搬送技術
- CPDS認定機関
- 安全衛生講習会
- 会員からの情報提供(コラム)
- リンク
- 会員のページ
- インボイス制度への対応
- ブログ
- アルバム
- 掲示板
- お問合せ
- メールマガジン
- セーフティアセッサ合格体験記その1
安診協の活動

コンサルタントとは「反省ばかりの毎日です」
9月 2026年10月 11月 | ||||||
| 日 | 月 | 火 | 水 | 木 | 金 | 土 |
| 1 | 2 | 3 | ||||
| 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 | 10 |
| 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 | 17 |
| 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 | 24 |
| 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 | 31 |
- アクセス数

- ページビュー数
